とりかえばや

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なぜ違法操業した北朝鮮人が逮捕されなかったのか?

 

1.事件内容

 

10月7日石川・能登半島沖合の日本の排他的経済水域EEZ)で、北朝鮮水産庁の取締船が衝突する事故がおこりました。違法操業が疑われる漁船を発見した取締船は退去するよう呼びかけました。その後、漁船が急旋回してぶつかりました。結果漁船は沈没し、乗員約60名は投げ出されて救命いかだを使って別の北朝鮮の漁船に乗り移り帰っています。

 

2.事件場所

事故が起こった場所は、第9管区海上保安本部によると日本の排他的経済水域能登半島の北西約350㎞の沖合で、「大和堆」と言われる漁業場でした。イカがとれるため北朝鮮による違法漁業が相次いでいる場所です。

排他的経済水域はいたてきけいざいすいいきEEZイーイーゼット)とは何?

排他的経済水域EEZExclusive Economic Zone)とは,漁業ぎょぎょうをしたり,石油などの天然資源てんねんしげんったり,科学的かがくてき調査ちょうさを行ったりという活動を,他の国に邪魔じゃまされずに自由に行うことができる水域です。海に面している国は,自分の海(領海りょうかい)の外側そとがわに決められたはばえない範囲はんい排他的経済水域設定せっていすることができます。海に面している国は,これらの活動を行うほかは,排他的経済水域ひとめしてはならないことになっています。たとえば,他の国の船が通ったり,飛行機ひこうきが上空をんだり,他の国が海底かいていにパイプラインを作ったりすることを禁止きんしすることはできません。

 

3.逮捕されなかった理由?

●通るだけでは違法でない

●漁獲した状況を確認できなかった

   ↓

退去勧告しかできない

●衝突(故意か不明)では日本の経済水域(EZZ)内だが海上のため乗組員にたいする刑事裁判権は船籍国にある

   ↓

救助のみで逮捕はしなかった

4.最後に

 

 

これらは国連海洋法に基づいたものであり、強硬に逮捕すると日本側が追及されることになる可能性があります。そのため、日本側の対応は適切であったと思われます。また、水産庁の取締船には銃火器がないため仮に捕縛できる理由がある場面でも60人もの大人数への対応は難しかったのでないでしょうか。海保や自衛隊に対応を求めるにしても、人員や予算の面で対応しきれないのが現状です。北朝鮮だけでなく、韓国・中国の関係問題の悪化もあるため国には安全保障を含めて早急に考えてもらいたいです。

 以下資料

 *1

海洋法に関する国際連合条約(通称:国連海洋法条約*2

*3

 

 

 

 

*1: 第七部 公海第一節 総則
第八十六条 
この部の規定は、いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用する。この条の規定は、第五十八条の規定に基づきすべての国が排他的経済水域において享有する自由にいかなる制約も課するものではない。

海洋法に関する国際連合条約 - Wikipediaより

*2:排他的経済水域に対して国家が有する主権的権利とは、天然資源の探査、開発、保存、管理などといった経済的目的にのみ限定された権利のことであり(第56条)、領域主権ほど排他的な権利ではない。そのため排他的経済水域における沿岸国の「排他性」は、その名称にもかかわらず極めて制限されたものとも言える。条約に定められた目的以外のための利用に関しては基本的に公海としての地位を有し、外国船舶や外国航空機は他国の排他的経済水域において上記のような排他的経済水域において認められる沿岸国の主権的権利を侵害しない限り航行・上空飛行の自由を有する(第58条第1項)。沿岸国には自国の排他的経済水域における生物資源の保存・最適利用促進の義務が課され、その水域における漁獲可能量と自国の漁獲能力を決定したうえ余剰分については他国に漁獲を認めなければならない(第61条第1項、第62条第1項・第2項)

海洋法に関する国際連合条約 - Wikipediaより

*3:第九十七条 衝突その他の航行上の裏故に関する刑事裁判権
1 公海上の船舶につき衝突その他の航行上の事故が生じた場合において、船長その他当該船舶に勤務する者の刑事上又は懲戒上の責任が問われるときは、これらの者に対する刑事上又は懲戒上の手続は、該船舶の旗国又はこれらの者が属する国の司法当局又は行政当局においてのみとることができる
2 懲戒上の問題に関しては、船長免状その他の資格又は免許の証明書を発給した国のみが、受有者がその国の国民でない場合においても、適正な法律上の手続を経てこれらを取り消す権限を有する。
3 船舶の拿捕又は抑留は、調査の手段としても、旗国の当局以外の当局が命令してはならない。

海洋法に関する国際連合条約 - Wikipedia